まいどどうも。仮想通貨フーリガンいぬゆなです。

本日は、NEMブロックチェーンを採用したスポーツ支援サービス『エンゲート』ベータ版リリースについてのメディア向け発表会レポートをお送りします。

『エンゲート』は、スポーツチームや選手と、ファンとのコミュニティ形成及び長期での関係構築を目指す、NEMブロックチェーン技術を採用した”ギフティング・コミュニティ”とのこと。要はスポーツチーム・選手に対する投げ銭サービスです。

エンゲートのサービスでは、初期にハンドボール、サッカー、フットサル、野球、格闘技、バスケットボール、バレーボール、ラグビーなどの8競技20チームから参加を予定。
さらに、スポーツチーム・選手とファンとのコミュニティ形成と、長期での関係構築を目指し、上位リーグや現役プロプレイヤーに加えて、下位リーグや未来のプロプレイヤー育成も視野に入れたファンドの組成を予定しているとのこと。

スポーツビジネスは、試合の勝敗や天候、代表チームの調子、人気選手の去就、大口スポンサーの動向などによって収入が大きく変動します。それゆえ、収入の種類を増やし、経営リスクを軽減することが求められるのです。
そこで近年注目されているのが、チームや選手にファンが直接投げ銭を行うビジネスモデル。アイドル業界では投げ銭ができる動画配信サービスはすでに定番となっていますが、スポーツ界にもこの波がやってきたと言っていいでしょう。

それでは、ここから当日のレポートです。

サービス誕生のきっかけは、同級生の北京オリンピック出場

エンゲート 城戸幸一郎社長「本日はお越しいただきありがとうございます。僕はずっとサッカーをやっていて、スポーツに関わる仕事をするのが夢でした。エンゲートのビジネスモデルを思いついたきっかけは、高校にヨットの石橋顕選手がいたこと。彼が北京オリンピックに向けて数千万円の資金調達をしなければいけなくなった。石橋君をオリンピックに出場させるべく、同級生が一丸となって支援用Tシャツを買いまくったことを鮮明に覚えています。

地元の企業の支援もあり、彼は北京オリンピックに出場することができました。しかし、大きな大会に出場する機会や日本代表に選ばれる機会などを奪われているスポーツ選手はたくさんいるのではないかと考えました。それをテクノロジーの力でなんとかするソリューションはないかと考えて、エンゲートというサービスは生まれました」

2018年はスポーツ×ブロックチェーン・トークンエコノミーの分水嶺になる

スポーツジャーナリスト 上野直彦氏「私はスポーツジャーナリストを20年間やってきました。その中で忘れられない出来事があります。女子のサッカーなでしこリーグ、当時はLリーグという名前でしたが、90年代の終わりにバブルが崩壊しまして、文字通り路頭に迷う選手も現れました。その光景をよく覚えているんですが、もう二度と見たくない。二度と起こしてはいけない。

そのために、日本のスポーツ界に何が足りないのか改めて勉強しました。そこで出会ったのがブロックチェーン技術です。ブロックチェーン、トークンエコノミーとスポーツの親和性の高さに気づき、どこかで活かせないかと思っていたときに出会ったのがエンゲートの城戸さんでした。

ブロックチェーン側の関係者はスポーツとの親和性に気づいていました。でも、スポーツ側の返事がよくなかった。そもそもブロックチェーンって何なの? と言われることも。ところが、今年に入って日本でも海外でもスポーツとトークンエコノミーの取り組みが急激に動き出しました。2018年はスポーツ×ブロックチェーン・トークンエコノミーの分水嶺になると思っています」

エンゲートのサービス概要。すでにビッグクラブの参加が決定

エンゲート 城戸幸一郎社長
「10月20日に、ウェブ版でのベータバージョンをリリースします。アプリのリリースは年末から来年になります。エンゲートのサービスはギフティング・コミュニティ”です。実際に試合を観戦しているファンが、興奮を金銭的なものにしてチーム・選手に送ることができます。

このサービスを作るにあたって、テクノロジーを使ってファンの声援をアスリートに届け、若者がスポーツ選手を仕事にしたいと思える世界を実現するということを、一番大事な哲学として定義しました。

スポーツに特化した投げ銭サービス、この形というのは我々は世界初だと認識しています。単純に投げ銭をするだけではなく、ファンとチーム・選手の距離を縮めていくコミュニティ作りというのが差別化のポイントだと考えています。
例えば、この試合で一番ギフティングをしてくれた方は選手とハイタッチできるとか、年間通して一番ギフティングをしてくれた方は選手とディナーできるとか、そういったコンテンツをリワード(報酬)として提供いただく。もしくは、試合で活躍した選手による限定の動画を観ることができる。そしてまたファンの方はチーム・選手を応援したくなる。

クラウドファンディングと何が違うの? と聞かれることもあるが、我々としてはクラウドファンディングの進化系だと思っています。1つのプロジェクトに対して支援を募る期間限定の仕組みであるクラウドファンディングに対し、永続的にファンとチーム・選手を繋ぐコミュニティサービスがエンゲートです。

例えば、20年現役を続けているハンドボールの選手に2万人がギフティングしたとします。2万人の絆。その2万人に、選手が引退後お店を出したなどの告知もできる機能を実装する予定です。現役時代はスポーツに集中してもらって、個人応援団が自然に形成されていく。それが資産となって、セカンドキャリアなどで活用していけるという世界観を考えています。

10月20日のベータ版リリースとともに、横浜ビー・コルセアーズのホーム開幕戦でキャンペーンを行います。来場者全員にエンゲートのポイントをプレゼントし、実際にギフティング体験が可能です。このキャンペーンを通じて、ギフティング体験の最初の一歩をローンチパートナーチームのみなさんとしっかり作っていきたい。

四国アイランドリーグの徳島インディゴソックスさん、なでしこリーグのINAC神戸レオネッサさん、J1リーグ湘南ベルマーレさんの試合で企画が決定しており、Fリーグフウガドールすみださん、日本ハンドボールリーグ琉球コラソンさんの試合でも企画予定です。また、ローンチパートナーにはなっておりませんが、J1リーグ横浜F・マリノスさんもほぼ導入が決まっています。今年からか、来年からかは協議中です。
他にもかなり多数のJリーグ、プロ野球などの複数のチームと話をしている状況です」

エンゲートがNEMブロックチェーンを採用した理由

エンゲートブロックチェーンPR 藤田綾子氏
「今までのブロックチェーンを使ったエンターテイメントサービスというのは、仮想通貨を持っていないと遊べない、ユーザーが限定されていたものが多かったのではないかと思います。エンゲートのサービスは、仮想通貨を持っていない一般のユーザーが、意識せず楽しんでもらえるものになっています。

ブロックチェーン上でトークンを発行し、それをエンゲートポイントとして発行し、ユーザーに日本円で買って利用していただく。このトークンはエンゲートのサービス内でのみ使える設計ですので、盗んでも外部では価値を持ちません。よって流出や二次流通のリスクは少なく、お客様が安心して使える設計にしております。

そしてブロックチェーンを使用する特徴としては、ファンが行ったギフティングはすべてブロックチェーンに記録され、改ざんはほぼ不可能です。ファンとチーム・選手とのつながりを示すビッグデータに価値があると我々は考えており、ビッグデータを活用した多彩なサービス展開を考えています。

エンゲートではNEMのブロックチェーンを採用しております。BTC、ETHでもサービスを提供可能な技術者を抱えております。検討の結果NEMを採用したわけですが、まずプロトコル(プログラムの根幹にある取り決め)でトークンを発行できることで安全性が高いこと。そしてAPI(ソフトウェアの機能共有)を用いて簡単に設計できること。さらにトランザクション手数料がETHの40分の1ほどで安い、ということが理由です。

今後の展開によっては、他のブロックチェーン技術を使用することも視野に入れたいと考えております」

ローンチパートナーチーム各社長のコメント

湘南ベルマーレ 水谷尚人社長
「今回参加させていただくにあたって、収入面と発信力に期待しています。ベルマーレはかつて親会社が撤退した際、地域の方々に支えられて生き延びたクラブです。今月の給料を払えないんじゃないかというころもあったので、収入源についてはしっかりと見据えたい。

ベルマーレはサッカー以外にもビーチバレーやトライアスロン、ロードレース、フットサルチームなどをやっていますが、多くの方々はそのことを知らないと思います。彼ら彼女らは、我々以上に資金に苦労している。そこも一緒に解決していけたらと思っています」

横浜ビー・コルセアーズ 岡本尚博CEO
「ベルマーレさん同様、我々も親会社がなく地域に支えられているクラブです。バスケットボールはまだプロ化して2年、マネタイズをより強化したいし、ファンとの距離も縮めたいと考えています。テクノロジーによってスポーツマーケットの状況はどんどん変化しているが、このサービスでさらに大きな変化が起こる可能性もある。

ビー・コルセアーズというのは、海賊という意味を持っています。未開の海を切り開くという意味では、我々が乗らずにどうするんだと。サービスのオープニングゲームが我々ということで、しっかり務めたいと思っています」

徳島インディゴソックス 南啓介社長
「独立リーグではいろんな人生を歩んでいる選手が非常に多いです。一度は挫折した選手、道を間違えた選手などに共感してもらえる部分もあるのではないか。徳島県の人口は71万人で、練馬区よりも少し少ないくらい。県外、世界中からもっと応援してもらいたいという気持ちで今回参加させてもらいました。期待しています」

フウガドールすみだ 安藤弘之社長
「ご存知の通り、フットサルはリーグ、チームともにまだまだ未熟です。メディアのみなさまに頼らずに、自分たちでどう発信するかと考えていたときに、声をかけてもらいました。私個人として一番魅力を感じるのは、他の競技のみなさんと同じ方向を向いて歩いていけること。リワードに関しても、情報交換をしながら魅力あるものを考えていきたいです」

琉球コラソン 水野裕矢社長
「僕自身、4年前までは社長と選手を兼任していました。我々が所属する日本ハンドボールリーグは8チームが実業団チームで、1チームが僕たちのクラブチーム。他のチームは結構保守的なので、僕たちが風穴を開けていく使命を受けている状況です。ハンドボールは映像だと面白さが伝わりづらく、ルールが分かりづらいのもあって、一般の方々にウケがないというのが現状。

僕たちは他のチームに行けなかった人間の集まりみたいなチームです。リーグには1部上場企業のチームが揃っていて、高校生・大学生にとっては大きいチームが第一志望。まだまだ夢を諦めきれない人間が最後、沖縄にたどり着くんです。ハンドボールは保守的なリーグではあるが、放映権などのしがらみはまだ多くないので、こういった面白い機会を通じて一緒にやらせていただきたい」

質疑応答抜粋

・リワードに関してはすでに考えているものがあるか?

湘南ベルマーレ 水谷尚人社長
「我々がやっている湘南電力という電気会社に入ったら、選手と食事会をセットするというリワードをいま実際にやっています。選手との交流を含めいろいろと考えていきたい」

横浜ビー・コルセアーズ 岡本尚博CEO
「例えば一緒に練習試合をできるとか、オープン戦でベンチに入れるとか、"それはやっちゃいかんだろう"というようなことをやりたいと思っています」

琉球コラソン 水野裕矢社長「ファンクラブ特典に差をつけるようなものを考えていますが、僕たちは100%飛行機で遠征することになるので、選手と一緒に楽しんでいただくといったようなことをやっていきたい」

・エンゲート自体のマネタイズは?

エンゲート 城戸幸一郎社長
「初期費用や固定費はいっさいチームからはいただきません、ギフティングされた総額をチームと我々で分けるレベニューシェアの形です。手数料のところについては今日は申し上げませんが、最大限チームにお返しをするということでやっていきます」

・ターゲット層は?

エンゲート 城戸幸一郎社長
「ヨーロッパでは2つ以上の種目を観戦する層が多いが、日本では1つの競技しか観戦しない層が多い。スポーツ全体をファンが回遊するような仕組みをエンゲートが持っていきたい。Jリーグしか観ていなかった方がハンドボールの面白さに目覚めるとか、NPBのファンが独立リーグの存在を知るとか、競技の枠を超えて楽しんでいくキャンペーンを行いたい。これをきっかけにして、それぞれの競技にとってのライト層の獲得ができるのではないかと考えています」

「類似」「競合」サービスと切磋琢磨して成長を

ここまで当日のレポートをお届けしました。

さて、国産仮想通貨界でスポーツ×投げ銭といえばNANJCOINを連想する方も多いと思います。すでにeスポーツ海外大会に出場する選手への投げ銭企画が2回実施されています。日本円にして合計数百万円(当時のレート)の投げ銭が行われました。この投げ銭の回数、平均値などのデータは公開されており、(第1回企画 第二回企画)やはり決勝戦などのクライマックスに投げ銭が集まる傾向があることがわかります。このデータを使って「ファンが何を求めているか」を可視化したり、さまざまなデータ分析のマーケティングサービスを行う構想があるようです。

また、ブロックチェーン技術を使用してはいませんが、デジタルトレーディングカードを購入することでチーム・選手を支援するwhooop!というサービスも登場しています。すでに正式公開されており、ベータ版から参加しているチームのカードはすでに数百枚が購入されています。こちらはリワード機能についても実装済みで、カードと引き換えに選手との会食やグッズのプレゼント、さらにはeスポーツ選手とオンライン対戦できる権利などを得ることができます。

エンゲートも含め「アスリート・チームへの支援」というコンセプトは同じで競合する部分もありますが、スポーツ×投げ銭のサービスは今後もっと増えていくと思われます。そのとき、それぞれのサービスの強みはどこなのか? というものが問われることになります。

エンゲートの場合は城戸社長がソフトバンク・楽天出身ということで、プロ野球福岡ソフトバンクホークスやJ1リーグヴィッセル神戸、さらにはスペインのFCバルセロナの参加もあり得るのでは? というネットの声もあります。参加チーム・選手の独自性も、他サービスとの差別化になるでしょう。

そもそもスポーツ×投げ銭って需要あるの?

あまりスポーツに関心のない読者の方も多いのでわからないですよね。あります。これは、ファンにとってもチーム・選手にとってもです。

スポーツファンにとっては、声援を送ること以外の直接的支援という選択肢ができる。これ、しない人はしないですが、したい人はめちゃくちゃしたいのです。
日本にはチップ文化がないので「投げ銭」と言われるとちょっとイメージがわかないかもしれませんが、「おひねり」という文化はありますよね? 駅前で路上ミュージシャンが歌っていて、置いてあるギターケースにお金を入れる人を見たことはありませんか? アイドル業界での先行事例もありますし、投げ銭サービスの潜在的需要は非常に大きいんですね。

僕は実際にNANJCOINの投げ銭企画にユーザーとして参加しましたが、普通に試合を観る観戦1.0、SNSなどを使い他のユーザーと交流しながら観る観戦2.0に対して、試合を観戦しながらリアルタイムに投げ銭を行い、その額(=ユーザーのボルテージ)を可視化しながら観るのは観戦3.0とでもいうべき新しい体験です。

チーム・選手にとっては、収入源になるということは当然ながら、他にも数え切れないほどのメリットがあります。代表的なものは、投げ銭が行われたタイミングや額を分析して「本当にファンが評価するプレーがわかる」ことでしょう。

例えばサッカーの試合で最も投げ銭が行われるのは、ゴールが決まったときや勝利した瞬間のはずです。しかし「生え抜き選手が必死でディフェンスに戻ってピンチを防いだ」シーンや、「いつもはクールな選手がリードを守りきるために必死に時間を稼ぐ」シーンなど、ファンならグッとくるシーンが試合中には無数に存在します。従来は定量的な評価を付けづらかったプレーに、新たな価値が生まれる可能性があるのです。

また、「ファンが本当に求めているファンサービスがわかる」ことも魅力です。先日ツイッターで「ファン感謝祭などで選手が行う仮装やダンスなどの出し物は必要なのか?」という議論が勃発していました。例えば仮装した選手と写真を撮れる権利などをリワードにしてしまえば、ファンにとっての需要の有無がわかります。
また「正直自分は仮装などはやりたくない」とツイートする選手もいましたが、そういう選手には別のリワードを用意してあげればいい。今まで出し物を慣習的に行われていたのが「選手にとっても本当に行いたいファンサービスがわかる」ようになり、リワード以外のファンサービスも変わっていくかもしれません。

さらには、応用として「差し入れ」にも使用できるはずです。これまたツイッターで「摂取する栄養素を管理しているので、スポーツドリンクなどの差し入れをもらっても口にできない」というサッカー選手のツイートが話題になりましたが、いくつか用意した選択肢の中から差し入れする品を選び、それが選手に届くような仕組みは実現可能なはずです。
モノを直接手渡したいというファンも多いはずですが、逆に荷物が多くて持って行く余裕がなかったり、渡すものを忘れてしまったり、ファンサービスを受けたその場で「お礼をしたい!」と思うこともあるでしょう。

「投げ銭サービス」といっても、ただお金を渡して終わりではなく、そこからさまざまなメリットが生まれます。エンゲートはじめ各社にはこの市場を確固たるものにし、スポーツ全体を盛り上げていって欲しいものです!

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