こんにちは。仮想通貨フーリガンいぬゆなです。

本日は今注目の国産草コイン『NANJ』の紹介と、運営陣へのインタビューをお届けします。

みなさんは『なんJ』という言葉を聞いたことがあるでしょうか。2ちゃんねる(現在は2ch.scと5chに分裂していたりややこしいので、この記事中では2ちゃんねるで統一します)の『なんでも実況J(ジュピター)』という実況掲示板の通称が『なんJ』です。

その『なんJ』有志が作り出した仮想通貨『NANJ』は、海外取引所CoinExchange.ioの上場に必要な費用4BTCを寄付で集め、誕生から57日という早さで上場。ICOをせず取引所に即上場させる手法や、上場後1日で8倍に値上がり、取引高が200BTCを超えたことへの注目が集まりました。

2ちゃんねる発祥の仮想通貨といえば、モナコインが有名です。盛り上がっているコミュニティが存在し、いきなり高騰して注目を浴びたところも似ているといえば似ています。
しかし、NANJの特異な点は上場する前にこそあったのです。

NANJ創設者のイッチ氏(スレッド主=掲示板の書き込み番号1の、なんJ板内における愛称)が掲示板にスレッドを立てた段階では、NANJは何の機能もないただのデフォルトイーサリアムトークン。にも関わらず、スレッドが立ってから2時間ほどでロゴが完成

デザイナー、翻訳、エンジニア、法務、広報と、仮想通貨を作って運営するために必要なスペシャリストが結集するのに1週間もかかりませんでした。この時点で映画化決定しそうなくらいドラマチックです。

なんJが野球中心の実況板であるため、NANJは様々なスポーツ分野での決済手段や、選手やチームに対する寄付の手段としての活用を目指すことに。discordのコミュニティメンバーは5000人を超え、NANJの今後について意見を出し合ったり、botを開発したり、仮想通貨とは関係のない『部活動』と称したチャットチャンネルで交流したりと、自由に楽しんでいます。

実名と顔写真を出してもスキャム(詐欺)扱いされるのが常である仮想通貨界において、全員匿名で素性も知れない謎のコインが、なぜ受け入れられ、これほどまでに盛り上がっているのか? 続いてのインタビューで感じていただければ幸いです。

始まりは完全なネタコインだった

――本日はよろしくお願いします。運営陣が遠方にお住みということと、現在discord中心に盛り上がっているということで、discordのチャットを使ってインタビューさせてもらいます。

最初に自己紹介をお願いします。仮想通貨歴、2ちゃん歴、趣味と好きな球団、一番好きな野球選手を教えてください。

イッチ「創設者のイッチです。仮想通貨を始めたのは半年ほど前ですが、2ちゃん歴は10年くらい。趣味は野球観戦で、阪神ファンです。一番好きな選手は桧山と赤星で迷いますが、赤星で」

ハゲ先生「法務担当のハゲ先生です。仮想通貨歴は昨年12月から。2ちゃん歴は、あめぞう時代(1998年~1999年ごろ)からになります。
趣味が仕事になってまして、毎日仕事をしています(´・ω・`) 落合監督時代の中日は毎日観てました。好きな選手も落合です」

――ありがとうございます。ちなみに僕は千葉ロッテのにわかファンです。
さて、まずイッチさんが最初にスレッドを立てたときのことからお聞きしたいと思います。最初のトークンはToken Factory(0.1ETHを払うことで簡単にイーサリアムトークンを発行できるサービス。0.1ETHは当時のレートで約1万5千円)を使って作られたんですか?

イッチ「そうです。スレッドを立てたときは完全にネタで、トークンをみんなに使ってもらうどころではなく、すぐスレ落ちて終わりだろうな―と思ってました。お金はかかってますが、自分だけの仮想通貨だ! って身内でネタにしようかなーぐらいの感じでした。その時は仮想通貨投資で少しだけ利益が出ていたので、余裕があったと記憶してます」

――なるほど。しかしスレもdiscordもあれよあれよと盛り上がり、どんどん協力者が現れます。このときの心境を振り返ってみていただけますでしょうか。

イッチ「興奮という感情より驚きのほうが大きかった記憶です。加熱するキッカケはロゴの者さん(NANJ運営陣の一人。デザイン担当)がアップしてくれたロゴでしたねー。あれがなければ、すぐスレ落ちしていたと思います」

――確かに、たった2時間でやたらクオリティの高い創作物がでてきたというインパクトは強かったでしょうね。

ハゲ先生「あの速さは、"仕込みなんじゃね?"ってよく勘違いされる要素になってますね(´・ω・`)
私が参加して一番びっくりしているのは、各方面で活躍できる人材を2ちゃんとdiscordのガチャガチャで良く引き当てたなぁと思うところですね(´・ω・`) ガチャゲーでSSRを6連発で引いたみたいな感じです」

イッチ「記憶が曖昧ですが、スレ立てから一週間くらいで運営陣の7人が揃ったのかな」

ハゲ先生「やーぼさん(NANJ運営陣の一人。マーケティング担当)が最後でしたね。めちゃくちゃマーケティングのうんちく言ってて、すげぇギラギラしてたんですよw」

イッチ「やーぼさんに関しては積極的で行動力ありそう! っていうイメージ強かったですね」

ハゲ先生「それまで集まった6人は基本的に本音で語らない協調タイプだったんですが、もっとガンガン本音と欲望を出すタイプが必要と判断して、運営に加わってもらいました」

驚きっぱなしのイッチ氏と、周到なハゲ先生

スレ立てから数時間でdiscordサーバが作られ、大部分の議論はここで進められている。

――discordのログを見てみると、スレ立てから2日目にはオープン戦(上場後、運営が格安価格でNANJを放出する期間)の仕組みに似た書き込みがあったり、現在のNANJの雛形がすでに完成していたようです。ものすごい速度ですが、イッチさんはずっと驚きっぱなしでしたか?

イッチ「特に初期は、みなさんからいただいた意見をどんどん取り入れていたので、みんなで作り上げた! という感じがすごくあります。ずっと驚きっぱなしで、今でも驚いてます。夢みたいです」

――discordでもいつも感謝の言葉を述べていらっしゃいますもんね。

イッチ「一人、もしくはフロント陣だけじゃ、絶対ここまで来ることはできなかったですからねー」

ハゲ先生「いわゆる草コインって、詐欺案件または詐欺に近い案件が多いじゃないですか。NANJはそういう草コインの常識を変えるコインにしたかったので、普通ではありえない真逆の手法をやろうと色々試行錯誤してました。

基本的に草コインって海外産で、運営と参加者の間での語学の壁や、運営があまり表に出ないことによる距離の壁があるケースが多かったです。運営が日本人できちんと情報発信等を行うことで、コミュニティメンバーとの間に一種の信頼関係が発生します。

運営は誰一人実名を名乗っておらず、匿名性を2ちゃんねるで叩かれておりましたが、CoinExchangeへの上場が近くなると誰一人叩かない雰囲気になっていたと思います」

――確かに、雰囲気がどんどん変わっていくのは見て取れました。運営が実名を出さないにも関わらず、短い期間でここまで信頼関係を築けるのはすごいと思います。

ハゲ先生「現時点の話ですが、運営メンバーはお互い誰一人会ったことも、声すら聞いたこともないと思います。さすがに名前くらいは知ってますがw

あと、少し前に5chCoinという詐欺コインの事件(ICOで5000万円ほどを集めたのち、運営が逃亡したと思われる事件)がありました。ICOは、参加する側にとっても当然リスクはつきものなのですが、ああいう事案が生じると国内の仮想通貨経済が発展しなくなると危惧しました。NANJが担う責任感で、ハゲそうになってます(´・ω・`)」

――むしろまだハゲてなかったんかい。草コインの常識を変えてやろう! というような話になってきたのはいつごろですか?

イッチ「やーぼさん加入後だったと思いますねー。最初から目標を高く設定してたわけではなく、NANJをしっかりと育てていくにはどうすればいいのか?というような会議を繰り返してるうちに、"歴史を作ることができるんじゃないか?"というような雰囲気になっていった感じです」

ICOを使わない"発明"オープン戦

――次に、オープン戦のことについて。まず読者のみなさんにオープン戦について説明しますと、NANJ運営は180億NANJを1satoshi(1億分の1BTC。BTCの最小取引単位。)で販売するため、上場後まず2satoshiに大量の売り注文による壁を作りました。すると、上場直後の買い手は3satoshi以上の高値掴みをする可能性がなくなると同時に、"半額"である1satoshiの買い注文に列を作ることになります。いち早く1satoshiに買い注文を出した人が買えるわけです。

これによって、discordに参加しているコミュニティメンバーが(discordに上場の情報が入ってすぐアクセスすれば)優先して1satoshiで購入できる仕組みが出来上がる。1satoshiに間に合わなくても、2satoshiならかなり長い時間購入することができた。

その後、想像以上の買い注文が入ったことと、後述する運営からの「プレゼント」の効果で、1日で最高価格8satoshiを記録しました。上場していきなり価格が8倍になったわけですから、discordはとんでもない盛り上がりでしたが、この「祭り感」とその後の値動きは、かなり計算されていましたよね?

ハゲ先生「1satoshiで180億枚を放出することはとても簡単です。でも、仕手や大口が先に購入して、それを2satoshiで並べますよね。1satoshiから2satoshiに値上がりしたら200%。2satoshiから3satoshiは150%。3satoshiから4satoshiは133.33%と、1satoshiの値動きに対する変動率が大きく、相場が膠着してしまうのは嫌でした。

そこで、祭りの持続性と投資の心理ゲームを仕掛けました。ルールとしては簡単で早いもの勝ちです。1satoshiで早く買い注文を並べて、放出を待つだけで勝てます。ただ、2satoshiの壁が壊れていく中、自分はこのまま並んでていいかという選択肢を与えることでゲームが成立します」

――すごく考えられていますね。

イッチ「すごE」

ハゲ先生「金曜日に上場して、日曜の20時くらいに180億NANJが完売すると見ていたので、金曜の夜中に完売するというのは予想以上でした。日本人のために、"日本時間の深夜は動かないから、寝ても大丈夫ですよ!"というシナリオだったのですが……それを告知する前に終わりましたw」

――なるほど。上場後、4satoshiまで値上がりしたところで「プレゼント」と称して運営による買い戻しが行われました。1~2satoshiでNANJを売って、即4~5satoshiで買い戻し。これの意図というのは?

ハゲ先生「いくつか目的があります。最初に述べたように、価格の数字が小さいうちは利益の変動率が大きくて価格が膠着しやすい。価格を一段上げることでチャートがキレイになり、1~3satoshiで購入した人が含み益でニヤニヤできる状況を作ることができます。

運営メンバーの持ち分を使って底上げすることで、自らのプレッシャーにするということもあります。メンバー自身ががんばらないと損をするというプレッシャーですw

利確勢の受け皿を運営自身の買い板で支え、NANJをホールドする安心感を持ってもらうことも目的の一つです。資金調達後に実績を出すのはとても大変で時間が掛かりますし、何もしなかったら2~3satoshiで膠着してそこでみなさん利確しちゃいますから」

――さまざまな計算があったわけですね。

ハゲ先生「CoinExchange.ioのチャートは一番短い足が一時間足なので、チャートの形で入りやすくするというのはかなり気を配っています。今回は初期の資金調達なのでCoinExchange.ioを選択しましたが、いずれ……w 乞うご期待!」

NANJが描く未来

スレ立てから1日で、仮のロードマップも作られた。現在のロードマップと差異はあるが、大枠はこの時点で完成していたことがわかる。

 

――ネタとして生まれて、奇跡のような出会いがあり、コミュニティに支えられここまできたNANJ。コミュニティに対する思いというのはいかがですか?

ハゲ先生「NANJコミュニティって、仮想通貨初心者の方がとても多く参加しているんですよ。ウォレットや取引所の使い方などを解説して初心者の方々にうまく導線を引いてあげたいし、去年秋くらいまではよくあった"資産がわずかの期間で数倍になる"という興奮を味わってもらいたいというのもありましたね」

イッチ「NANJきっかけで仮想通貨はじめたよ!っていう人もいたので、今後もそういう人が増えることで仮想通貨全体を盛り上げていきたいですねー」

――では最後にファンの方々に向けて、今後の意気込みをお願いします。

イッチ「 そうですね、やはり勝因はチームプレイ。10人目の選手であるファンの皆さんの力が大きかったと思います。フロントと呼ばれる運営陣の采配が有能だったこともあると思いますが、そういった1人1人が「できること」をやってくれた結果だと思います。

まだまだオープン戦が終了したばかりで、この先長いシーズンが待っています。狙い通りにいかないことやうまくいかないこともあると思います。それでもファンの方々が応援してくれることで、本当に力になります。その頂いたパワーで前を向いて突き進んで行きますので、これからも応援よろしくお願いします!」

インタビュー終了後はやーぼさんも登場し、なんJ民の嗜みである絶叫脱糞で〆となった。

 

最後はヒーローインタビュー風にまとめていただきました。NANJはファン有志の活動も非常に活発です。北海道大学の学生が発行する北大コインと連携し、ばんえい競馬に協賛、NANJの冠レースを命名するという動きなどもあります。冗談ではなく、もうひとりの運営メンバーはファンなのかもしれないですね。

NANJ運営陣が、日本の草コイン界を牽引していこうという気持ちがビシビシ伝わってくるインタビューとなりました。NANJの今後の展開に期待したいと思います!

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