SBIVCの「ホワイトリスト出金システム」
SBIホールディングス傘下の「SBI BITS」のCEO Chuck Chon氏は現在大阪で開催中の仮想通貨業界サミットV20に登壇し、取引所SBIバーチャルカレンシーズ(SBIVC)の資金洗浄(AML)・テロ資金対策について解説を行ないました。
SBIVCは金融庁に仮想通貨登録業者として登録しており、昨年の夏頃に取引業務が正式に開始。Chon氏は、SBIの方針として、資金洗浄やテロ資金などの違法行為に対して「ゼロ容認ポリシー」を貫いていると強調しています。
FATFが先日公開した「ガイダンス」の焦点はAMLなどの不正資金運用を防ぐ為のものであり、仮想通貨交換業者を銀行のような既存金融機関として厳格な基準で規制することをFATFの加盟国に推薦しています。
Chon氏は現在多くのテロリストや犯罪者が匿名性の高い仮想通貨やミキサーサービスを利用していることを背景に、顧客の身元認証KYCの必要性を指摘。
SBIVCのKYCの特徴として、まずSBI銀行のアカウントを開いた上で、SBIVCの顧客口座を開設することが可能になるという点です。Chon氏は、SBIのKYCと不正送金の検知システムについて、以下のように説明を行いました。
SBI銀行とSBIVCのKYCシステムは、不正で取得された可能性の高い仮想通貨を探知する。なお不正疑惑の水準も程度とスコアによってレベルが分かれている。
SBIVCの口座に入金する場合、不正探知に引っかかると、スコアに応じて入金が拒否される可能性もある。
一方、出金される場合、全ての仮想通貨資金はコールドウォレットから引き出される。ハッキングされた資金や資金洗浄の為のトランザクションを探知するためには、SBI独自の「ホワイトリスティング」というメカニズムを利用する。
なお、出金に利用されるこの「ホワイトリスティング」の利点をこのように取り上げています。
- 顧客のID証明で本人の出金リクエストを確認
- ハッキングの資金移動を防止
- FATFの制裁国に資金移動が不可能
- 不正トランザクションを探知可能
Chon氏はSBIVCの高い業界KYC・AML水準に関して、「仮想通貨を伝統金融商品同様に取り扱う場合、当然伝統金融のルールを遵守する必要がある。」と、間接的にFATFのガイダンスの方針に同意を示していると考えられます。
さらに、厳格な規制と技術の革新を同時に追求することで、業界は良い方向に向かって競争し、適切な規制の実行を可能にするとの意見を示しました。
参考CoinPost
マーク・ザッカーバーグ氏、リブラ協会への参加を募る
Take a listen to what @facebook founder Mark Zuckerberg just said about the launch of the new Libra cryptocurrency $FB #Libracoin pic.twitter.com/2cEfp9f27v
— CNBC's Fast Money (@CNBCFastMoney) 2019年6月26日
フェイスブックのCEOで創設者でもあるマーク・ザッカーバーグ氏が、自社が支援する仮想通貨リブラについて公の場でコメントしたと、CNBCの投資番組・「Fast Money」がTwitterの公式アカウントで明らかにしました。
ザッカーバーグ氏は以下のようにコメントしています。
金融システムの構築は、1つの企業だけで行うものではない。我々はその構築の一翼を担おうとしている。
しかし、リブラ協会は1つの独立した組織である。そして物事を決定する時の投票権は1票しかない。だから仮想通貨のリブラをローンチするまでには、協賛してくれる企業が100社になることを望んでいる。
現時点で確認できているリブラ協会への参加企業数は約30社。すでに決済大手のVisa、MastercardやPayPalなどの大企業が名を連ねているため、今後どのような企業が参加するかにも注目が集まっています。
リブラ協会へ参加するには、以下の3つのうち2つ以上の条件を満たす必要があるとのこと。
- 市場規模が10億ドル(約1100億円)以上、または顧客によるキャッシュフローが5億ドル(約550億円)以上であること
- 年間利用者が2000万人以上いること
- FortuneやS&Pなどの第三者機関から、その業界でトップ100以内の企業と認定されていること
上記の条件を2つ以上満たした上で、最低1000万ドル(約11億円)相当のリブラを投資のために購入しなくてはいけません。決定権の投票は1000万ドルごとに1票与えられることになっているようです。
参考CoinPost
フェイスブックの仮想通貨リブラにEUの銀行が危機感
欧州連合(EU)圏内の全銀行が、2020年までにEU共通の即時決済システムを導入する可能性が浮上。
フェイスブックの仮想通貨リブラをはじめ、テクノロジー企業との競争は続いており、銀行はより早く進化する必要に迫られている、とロイターが6月26日に報じました。
記事によると、2017年以降、EUでは即時決済が可能になっているものの、これを導入している欧州の銀行は約半数にとどまっている状況。しかしロイターは、フェイスブックの仮想通貨リブラが銀行の競合となることから、即時決済システムの採用が進む可能性があると指摘しました。
欧州決済協議会(EPC)のエティエン・グース(Etienne Goosse)会長は、リブラの動向にかかわらずテクノロジー企業との競争は続いており、銀行はより早く進化する必要があるとコメント。グース会長は、大手ハイテク企業は、細分化された銀行システムよりも大きな利点を持っていると指摘。
「彼らは、消費者がすばらしいと喜ぶ多くのものを提供し、グローバルブランドの下でグローバルソリューションを提供している。(中略)そのため、我々には時間がない」
またグース氏は、EPCが推進する即時決済システムは、EUの貸し手および決済サービス事業者の約60%に採用されており、2020年末までにすべての銀行に拡大する可能性があると述べました。
参考コインテレグラフ