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Bakktが期待されるワケ
8月17日の仮想通貨市場ではビットコインが続伸。Bakktが現物決済先物取引の提供に必要なライセンスの取得を発表、先物の提供日時を9月23日と具体化させたことで市場の期待感が高まりました。
金融市場との相関性
これまで、金融市場との相関指数からの指摘で、一時は安全資産との値動きに同調するビットコインに、世界経済の後退懸念における資金の逃避先としての見方が強まっていましたが、8月中旬のBTC価格急落が米株の急落と重なったことで、ボラティリティの高いリスク資産の側面が再び強まったとの見方が広がりました。米中貿易問題が一服したほか、ドイツ政府がリセッション(景気後退)入りしたタイミングで財政赤字覚悟の対策を行うとした報道で、緩和した経済の成長懸念で、米株などリスク資産の一定の需要回復にビットコインも同調した格好です。
世界の債権市場では逆イールドが広がり、米国以外にも英国やカナダなどでも確認。リセッションのシグナルとしてリスクオフムードが加速しています。ビットコインの金融市場との見方には議論の余地があると見られますが、経済と政治の変調が激しく経済の先行きが不透明な中で、どのような相関性が指摘されるか、Bakktの先物取引などを契機に新たな資金が入ってくる可能性がある今、重要な局面を迎えていると言えそうです。
今後の注目ポイント
BakktがCFTCの「自己認証」プロセスを通じて現物決済ビットコイン先物取引を9月23日に開始することを受け、気になるのはこれまでの先物取引との違いとBakktの事業展開です。
まず、世界最大の証券取引所「NY証券取引所」の親会社ICEが運営を行うBakktが取り扱う先物取引は、Bakktで完結するものではないことを理解する必要があります。
現物決済の先物を提供と資金のデポジットを行う上で、関わってくる機関は主に3つあり、取引を行う「ICE EXCHAGE」と清算を行う「ICE CLEARING」、最後に現物の受け渡しを行う(Deliveries)「Digital Asset Warehouse」があります。この最後のWarehouseの部分がいわゆるBakktが担当する部分になります。
BakktがNYDFSにカストディアンの申請を行なっていたのは、この現渡しのプロセスを自社で完結させるためであったことを意味します。
要するに、Bakktが取引を行う訳ではなく、今回のビットコイン先物取引は、金や原油といった他の先物取引と同様にICE Futures U.S.で取り扱いが行われることになります。
また、現物のビットコインを取り扱うカストディアンの役割を担うことで、現渡し介する日間の現物決済先物取引で、間接的に現物BTCの取引が可能になるほか、機関投資家の入金プロセスにSMA口座への米ドル入金以外に、直接ビットコインをWarehouse Accountに送金することが可能になっています。
金融市場とのエコシステムでも、これまでの指数に連動した先物取引とは大きく異なる点です。
また、CFTCとNYDFSからの認可を得たことで、取引から現物取り扱いまでの全プロセスにおいて規制下で管理することができます。ICEという世界的な機関が取り扱うことでの影響力も大きいです。
参考CoinPost
米Coinbase、機関投資家の預入資金額を明かす
米仮想通貨取引所コインベースのCEOであるBrian Armstrong氏が、同社が運営するコインベースカストディ社には、機関投資家から週に2億ドル(約210億円)から4億ドル(約425億円)相当の預け入れがあると明かしました。
Armstrong氏は、機関投資家向けに仮想通貨保管サービスを展開してきた大手ライバル企業Xapo社を、コインベースカストディ社が5500万ドル(約58億円)で買収することが決定した数時間後に、上記の内容をツイートしています。
また「機関投資家のための、最も安全で信頼性の高いカストディのインフラを作ることは、仮想通貨の経済圏を構築するための小さいな一歩にすぎない」ともツイートしており、今後も業務を拡大をしていくことに意欲を示しています。
今回の買収によって、仮想通貨業界に巨大カストディアンが誕生したことになりますが、厳重に仮想通貨を保管してきたXapo社と同等のサービスをコインベースカストディ社が提供できるか懸念を示している顧客もいるのも事実。資産をコインベースカストディ社に移動することにまだ同意していない顧客もいるようです。
資産の移動に全顧客が同意すると、ビットコインに限ってみれば、同社は86万BTCを保有することになり、その量はビットコイン全体の流通量の約4%に相当するレベルまで拡大。保有資産全体でみれば、その額は現時点で70億ドル(約7400億円)に上ります。
参考CoinPost
イーサリアム、次回大型アップグレードで実施される6項目を発表
イーサリアムの次の大型アップグレード「イスタンブール」における6つの実装項目、また作業手順が発表されました。
「イスタンブール」は2019年3月に行われたコンスタンティノープルに引き続く、大型アップグレードであり「セレニティ」(イーサリアム2.0のPoS実装)に向けた最終的な段階に位置するものとなっています。
「イスタンブール」は前半と後半に分けて行われる予定です。
前後半それぞれのアップデート内容
前半は、六項目のイーサリアム改善案に伴うコード変更であり、現在の予定としては今年10月にイーサリアムのメインネット上で行われる予定です。
内容としては、プライバシーコインzcashのチェーンとの相互運用性の向上、リプレイ攻撃など外部からの脅威に対して、ネットワークの安全性を向上させることが目的とされています。また、様々な改良によりシステムの効率性も上がる予定です。
後半では、メインネットが立ち上げられ、改善案(EIPs)のさらなるテストと審議に焦点が当てられます。これには「ProgPoW」と呼ばれるマイニングアルゴリズムの変更案も含まれます。
アップデートの実施時期については、コア開発者のPéter Szilágy氏が、「一回目の「イスタンブール」は、数週間以内には実施できるが、二つの大きなEIPsを含む二回目については、より人員と時間を必要とするので、さらに後になるだろう」とCoinDeskのインタビューで明かしています。
イーサリアムのテストネットである、Ropstenでの「イスタンブール」テストネットの起動は、当初今年の8月14日に予定されていましたが、イスタンブールの一回目で行うEIPsの項目を最終決定するまでに、二週間ほど先送りする必要があるとのこと。
今回の実装項目がコア開発者によって承認されたばかりなので、今年の9月4日に予定されていたテストネットRopsten上での、アップグレードバージョンの起動も後ろ倒しになる可能性があります。ディベロッパー達は来週の会議で、いつをテストネットの起動日にするか話し合うことになっています。
メインネットでのアップグレードを行う前に、ネットワークの安定性と安全性をテストネットで検証することは重要であり、テストネットの立ち上げはメインネット起動前の最後の不可欠なステップとなります。
GethやParityなどの主なイーサリアム・クライアントの開発者は、一週間程度で、新たに承認されたEIPsをソフトウェアに統合し、テストネットワーク上で実装するのに備えるとみられます。
参考CoinPost